なつかしい我が家に久しぶりに帰ってこれました。

目を閉じ眠ったままの母を寝台車に乗せ。

家の前の田畑の前に車をとめてもらいました。

「おかん。青なっとるぞ」コンコンとお棺を叩いた。

恵みの雨が、苗を実らせて青々と風になびく風景を見て

安堵して旅立ったと信じています。

 

ひとり身で トラクターもコンバインも乗りこなし

ご近所の皆様にはいつも優しい言葉をかけて頂き

心から、感謝しています。ありがとうございました。

 

稲穂が育ち稲波の風に吹かれながら

「今年もおいしいお米が育ったよ」

家族やご近所さんに喜ばれる事が生きがいでした。

 

足かけ4年、ちょうど面会すらできない時期で

随分、寂しく、辛い思いをしたと思います。

たまに会えても、田畑の事をずっと気にかけていました。

そんな姿に、「私が代わりに頑張る」と、熱い思いがこみ上げました。

人のために働くよりも、謙虚に人の世話になり

たとえ、体が動かずとも、親切で温和であること。

老いの重荷は仏のたまもの。古びた心に最後のみがきをかける。

誠のふるさとに逝くために。